ごまの原産地と日本への伝来

ごまの原産地とされるアフリカは、現在でも世界有数のごま生産地として知られています。ごまの栽培の歴史は非常に古く、多くの国々で重要な農産物のひとつとされています。
そもそもごまは、過酷な自然環境でもたくましく育つ、非常に生命力の強い植物です。寒暖差が大きく乾燥したアフリカの大地でも問題なく育つため、古くからこの地に根づいてきたのです。
栄養価が高く、保存性にも優れており、風味も豊かでさまざまな料理に活用できるごまは、アフリカの人々にとっても大切な食品です。実際、現地ではごまを使った料理が多く、例えばスーダンではごまの粒はもちろん、ごまペーストやごま油も広く活用されています。
ごまの日本への伝来と現状
日本におけるごまの栽培は、古代に中国や朝鮮半島を経由して伝わったとされています。しかし現在、国内での生産量は非常に少なく、2020年の国産ごまの生産量はわずか50トン。国内自給率は0.024%にとどまっています。そのため、日本で消費されるごまのほとんどは海外からの輸入に頼っています。
2022年には、日本のごま輸入量は約17万9,067トンにのぼり、主な輸入先はナイジェリア、ブルキナファソ、タンザニアなどのアフリカ諸国です。これらの国々からの輸入が全体の7割以上を占めています。特にタンザニアでは、過去10年ほどでごまの生産量が倍増し、年間約15万トンが生産されています。また、マラウイなど新興国でもごま栽培が注目されており、日本企業も現地での栽培支援や品質管理に取り組んでいます。

和食によく合い、「日本的な食材」というイメージの強いごまが、地球の裏側から長い旅を経て私たちの食卓に届いていると考えると、少し不思議な気がしますね。
もっとも、日本は多くの食品を海外からの輸入に依存している国でもあります。たとえば、味噌や醤油の原料となる大豆、うどんの材料となる小麦、さらには魚介類なども、世界中から集められています。そうした意味では、ごまがアフリカからやってくるのも、今ではごく自然なことなのかもしれません。
このように、ごまは古代から人類とともに歩んできた食材であり、現在も世界各地で栽培され、日本の食卓に欠かせない存在となっています。今後も、持続可能な農業や国際的な協力を通じて、ごまの安定供給と品質向上が期待されます。