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中国に伝わったごま

2025-05-28
中国に伝わったごま

アフリカ、メソポタミア、インドを経て旅を続けてきたごまは、ついにユーラシア大陸の東端、中国へとたどり着きます。そしてこの地でも、ごまは人々の暮らしと深く結びつき、貴重な植物として広く受け入れられていきました。

中国の広大な国土にごまが広まった背景には、複数の交易ルートの存在があると考えられています。たとえば、古代ローマから中央アジアを経て中国北部に至る「シルクロード」や、インド洋を横断し、南アジアから中国南部へと至る「海のシルクロード」など、陸と海の複数のルートを通じて、ごまはさまざまな形で中国に伝わったと推測されています。こうして多方面からもたらされたごまは、中国各地に浸透し、やがてその文化と深く結びついていくこととなります。

中国におけるごまの歴史的記録として特に有名なのが、『神農本草経(しんのうほんぞうきょう)』です。これは中国最古の薬物書の一つで、伝説上の神・神農が著したとされ、漢方医学の基礎ともなる重要な古典です。神農はあらゆる草木を自ら口にして、薬と毒を見極めたとされる存在であり、その姿は牛の頭と人の体を持つ神秘的なものとして語り継がれています。

神農本草経

この『神農本草経』の中で、ごまは以下のように記されています。

「気を増し、肥肉を長じ、筋肉を固くし、耳目を明らかにし、肺気を補い、心驚を止め、大小腸を利し、久しく服飲すれば老いず」

一見すると難解な表現ですが、要するにごまは体力の増進、感覚器官の健康維持、内臓機能の調整に役立つとされ、長く摂ることで老化を穏やかに保つ、という趣旨が読み取れます。特に「久しく服飲すれば老いず(長く摂り続けると老いにくい)」という記述は、当時の人々がごまに対していかに特別な期待を寄せていたかを物語っています。

加えて、明代の著名な本草学者・李時珍(り じちん)が著した医学書『本草綱目(ほんぞうこうもく)』にも、ごまとその油についての記載があります。この中でごま油は「潤腸」「滋養」「風を除く」などの効能があるとされ、身体の内側と外側の両方から健康を整えるものとして紹介されています。特に、便通の改善や皮膚の乾燥を防ぐ目的での活用が推奨されており、長寿を願う人々の間で重宝されました。

また、実際の使用法も多岐にわたります。薬膳の分野では、ごま油は滋養強壮の食材とされ、黒ごま粥や薬膳スープなどに使われてきました。特に冬場には、身体を温める効果があると信じられ、風邪予防や冷え性対策として摂取されていました。

外用としてもごま油は重宝され、皮膚の保湿、炎症の緩和、マッサージオイルなどに用いられました。とくに赤ちゃんの肌に優しい天然油として使われることもあり、現代の中医学や自然療法でも注目されています。

さらに、中国の民間伝承や伝統儀式にもごまは深く関わっています。たとえば、正月や節句などの祝いごとには、黒ごまを使った菓子や料理が供され、「無病息災」「長寿」「繁栄」といった願いが込められました。また、婚礼や出産の儀式においては、黒ごまの種子を新郎新婦や新生児の幸運を祈って贈る風習も地域によって存在しました。

現代においても、ごまやごま油は中国医学・食文化の中で欠かせない存在であり、古代から伝わる智慧が脈々と受け継がれていることがうかがえます。



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