活性酸素と健康の話

🌿 不老長寿の夢と、活性酸素という現代の敵
人類が古来から追い求めてきた夢――それが「不老長寿」です。
このうち「長寿」は、すでに実現したと言ってよいでしょう。
日本人の平均寿命は、わずか半世紀の間に約30年も延びたのです。
しかし、「不老」、すなわち老いない身体という夢は、今なおかなわぬ理想のままです。
たとえ長生きできたとしても、老いは確実に訪れます。
身体の自由は少しずつ失われ、精神的な活力も衰えていきます。
医療技術が進歩したことで病気は治りやすくなりましたが、一方で「治らないまま長生きする人」が増えているのも現実です。
🩺 現代人をむしばむ生活習慣病
その代表が、生活習慣病です。
高血圧、糖尿病、動脈硬化、高脂血症、肝臓病、ガン
いずれも完治が難しく、慢性的に抱えながら生きていく人が増えています。
かつては「成人病」と呼ばれていましたが、中年以降に多く見られるという意味だけでなく、「長年の生活習慣が原因である」という理解が広まったことで、平成8年に「生活習慣病」と改称されました。
その背景には、厚生省(現・厚生労働省)の思いがあります。
つまり「早期発見・早期治療」だけでなく、病気を未然に防ぎ、若いうちから生活を見直すことを目的としたのです。
しかし現実には、こうした病気は一向に減少していません。
むしろ、現代人のストレス社会・食生活・運動不足によって、ますます増加の傾向をたどっています。
⚡ 病気と老化を進める“活性酸素”の正体
では、なぜ生活習慣が病気を招くのでしょうか。
その答えの一つが、いま注目されている「活性酸素」です。
私たちは呼吸によって酸素を取り入れ、その一部がエネルギー産生に使われます。
しかしその過程で、ごく一部の酸素が変化し、活性酸素(Reactive Oxygen Species)と呼ばれる物質が発生します。
本来、活性酸素は体内で細菌を退治するなど、免疫機能を支える重要な役割を果たしています。
ところが、過剰に発生すると健康な細胞まで傷つけてしまうのです。
この活性酸素の害が、老化や生活習慣病の進行に深く関係していることが、近年の研究で明らかになっています。
🌱 いま求められる「抗酸化」という考え方
活性酸素の発生を完全に防ぐことはできません。
しかし、食生活やライフスタイルを見直すことで、その影響を抑える=抗酸化することは可能です。
抗酸化作用を持つとされる成分は多く、たとえばセサミンやビタミンE、ポリフェノールなどが知られています。
これらを日々の食生活に取り入れることで、体のバランスを整え、健やかな毎日を支えることができます。
古代の人々が「不老長寿の妙薬」として重んじたゴマ。
そこには、現代科学がようやく解き明かし始めた抗酸化の知恵が隠されていたのかもしれません。


